アブナイ人

 

「フフフ…ハハハ…」(苦笑)

 

その日、私は肉のハナマサへと向かっていた、

西の空では夕陽が沈もうとしている。

急いで買い物を済ませたい、なぜなら買い物の後、

本のTSUTAYAに行きたかったのだ。

肉のハナマサで、ぶなしめじと業務用サイズのカルビ肉の精算を済ませ、外へ出た時にはもう空は暗かった。レジ袋片手に信号待ち。2月の冷たい風が頬をかすめてゆく。信号が変わり歩き始める、頭の中ではだいたい買う本は決めてあった。

 

そして二階にあるTSUTAYAへ。

 

平日の夕方とはいえ、本屋は賑わっていた。

最近積極的に本を読むようにしている。

しかし、好き勝手に何冊も買える余裕はない。

 

本屋大賞!ノミネート作品』

大きく書かれ、それらの本が平積みされている。

「ふ~ん、こうゆう本が人気なんだ。」

 

と、いかにも読書家のような顔ですかしていた。

少し進むと芸能人系のエッセイ本がまた平積みされている。

 

それが、私の目に入ってくるまでは普通でいられたのに…。

 

あまりにもくだらなすぎて思わず笑ってしまった。

 

正確に言えば本屋は静かだから逆に笑いたくなってしまうのだ。

 

また「笑い」というのは我慢しようとすればするだけ、笑いたくなる。

 

その本とは、

 

高田純次の『最後の適当日記』という本だった。

 

表紙の写真と帯のことばが頭の中で変にミックスされて、静かな本屋の中で笑いをこらえなきゃならない姿勢となったのだ。

 

 

帯にはこう書いてあった

 

『この本をオレの遺言と思ってくれていいよ、あと50年は生きるけど』

 

夕暮れ×ハナマサ×本屋×静か×適当=フフフ!(笑)

 

なのだ。

 

いや、笑ってはいけない所で笑いをこらえるのは大変だ。

 

しかし、静かな本屋で不意に遭遇する高田純次ほどアブナイ人はいない。