マグロとワタシ

家から表の道までの間に家族経営の魚屋がある。

 

必然的にその魚屋の前を通らないと表通りには出れない。

 

何代目の大将かわからないが、50代であろう人が定休日の水曜日以外、店の前で呼び込みをしている。

 

その大将に完全に顔を覚えられてるはずだ。

 

ほぼ毎日その魚屋の前を通るのだから。

 

日曜日の昼にはマグロの解体ショーまで行う元気な魚屋だ。

 

解体した後、バックに詰めて3パック千円で売りに出す。

 

あのボリュームで、3パック千円は安い。

 

そこで考える。

 

今は『買わない人』と大将に認知されてるが、一度でも買うと、その魚屋の客になってしまう。

 

そうなれば毎回外出する際、大将と挨拶しなければいけなくなる。

 

それがなんか嫌でずっとマグロを買えないでいるのだ。

 

私は社交的な方ではない。

 

幼い頃から人見知りが激しく、どちらかと言うと暗い子供だったと思う。

 

それが中学生の頃にもなると、「このままじゃイジメられる」と思い、明るいキャラクターを演じるようになった。

 

でも根っこは、人見知りで恥ずかしがり屋で暗い人間なのだ。

 

それは大人になった今でも変わらない。

 

だから魚屋でマグロを買えずにいるのだ。

 

私はこの記事で宣言しようと思う。

 

次の日曜日の解体ショーの後の3パック千円のマグロを買ってみせると。

 

そのマグロをつまみにお酒を頂こう。

 

やっぱり日本酒かな。

 

てゆうか、ビール、ワイン、日本酒しか呑めない。

 

うん 買ってみせよう。

 

このブログ書いてるのが丁度日曜日。

 

遠くで『はい、3パック千円だよ!大きいよー!』

 

大将の声が部屋まで聴こえてくる。

 

春はもうそこまで。